むかしのはなし#02 張板
文化財について保存・活用を推進する活動を行う文化財保護委員のみなさんに、泉大津市のむかしの暮らしについて語っていただきます。(不定期掲載です)
今では見られなくなった「張板」
今では普段着に着物を着る人は殆んど見られませんが、昭和の終わり頃には、冬になると着物の女性は、まだ見かけられました。
着物は頻繁には洗濯しません。
普段着を家で洗濯する場合、着物を一旦ほどいて手で揉み洗いをし、糊の液に浸してから、「張板」に丁寧にしわを伸ばして張って乾燥させました。
これを洗い張りと言い、大変な作業でした。
そして傷んだところを補修したり場所を変えたりして、再び手で縫って着物に仕立てるのですが、裁縫も手間のかかる仕事でした。
高級な着物の洗い張りは、悉皆屋と呼ばれる専門の業者に出しました。
写真は、昭和30年代中頃の撮影です。
ほどいて洗濯した着物の生地に糊を付け、張板に張っているところです。
この後、日当たりの良いところに立てかけて乾燥させます。
張板は、全長約2m、幅約40㎝、厚さ約1.5㎝の板に台がついています。
(文化財保護委員/坂口)